令和の時代に作る、自作トランシ−バ− Back
SSBジェネレ−タ−の次は、必要とするバンドへ出るための、トランスバ−タ−です。
今回は、SSBジェネレ−タ−「Gen1130」につないで、50MHzバンドへ出られる、トランスバ−タ−を製作します。
送信部の出力は、2SC2851を使い、50MHz帯で出力100mWを、得ています。
今回の回路で面白い所は、SA612と言うダブルバランスドミキサ−ICの、中に入っている2つのユニットを、別々に
送受信用に分けて使っている所です。この場合、それぞれシングルバランスミキサ−として、動作します。
まるで、ダイオ−ドDBMの様に、双方向で使っています。
(原点は、JA6HIC/内村OMが、1995年ごろに製作したトランシ−バ−に使っていたものです。)
トランスバ−タ−部にはVFOはなく、VFO部は、別ユニットになります。
初めに、今回の トランスバ−タ−の仕様を、書き出してみます。
a)周波数関係 = ジェネレ−タ−からの9MHzを、50MHzへコンバ−トします。
b)受信部は、2SK241 ➔ SA612 ➔ ジェネレ−タ−へ
c)送信部は、ジェネレ−タ− ➔ SA612 ➔ 2SK241 ➔ 2SC2851 ➔ LPF ➔ 100mW
d)
e)マイクは、Lowインピ−ダンスのダイナミック型マイクを使用します。コンデンサ−マイクの場合
外部にてマイクに電源を与えてください。マイクゲインは可変できます。
g)送受切り替えは、電源を切り替えています。+TRX(常時)、+TX(送信時)、+RX(受信時) すべて12Vです。
1)50MHzトランスバ−タ− 「Tran1130」 回路図 クリックすると拡大します。
回路構成は、各部の説明を、簡単にしてみます。
1)受信部
1)プリアンプには、MOS・FETの、2SK241を使用しています。3端子で使い良いので、昔の製作記事は
このFETばかり使用していました。現在は、生産中止となりましたが、まだ探せばまだ在庫分が流通しています。
2SK241を使用するとき、ちょっとしたコツがあります。
2SK241は、かなりのゲインを持っているため、発振するトラブルに会うときがります。この時は、
1)ソ−ス抵抗を大きくして、ゲインを落として、発振から逃げる。
2)ドレインの負荷インピ−ダンス(この場合、コイルです)を下げて、ゲインを落として発振から逃げる。
などの処置で、発振などのトラブルを避けられます。ゲインの低下はありますが、通常の使用では問題は
ないと思います。今回は、この方法を使っています。
2)プリアンプ段には、ソ−スに可変抵抗を入れて、ゲインを調整できるようにしてあります。
通常プリアンプにはAGCを掛ける場合が多いのですが、今回はAGC電圧の違いから、AGCがかけられません。
強い局が出てきた場合、混変調や音割れが起こる場合があるので、その際にプリアンプのゲインを落とせるようにしてあります。
3)ミキサ−回路には、「SA612」を使用しています。このICはのなk身は、ダブルバランスドミキサ−ICに、なっています。
今回は、ダブルバランスの部分を、シングルバランスミキサ−として使い、受信時/送信時別々のパ−トを使っています。
こうすることにより、まるで双方向性ミキサ−の様に使う事ができます。この回路は、JA6HIC−OMが使っていたものを
使用させていただきました。よく考えられた回路だと思います。
4)ミキサ−とジェネレ−タ−への出力部には、マッチング回路を入れてあります。
ミキサ−の出力インピ−ダンスは、1500オ−ム(デ−タシ−トから)なので、50オ−ムとのマッチングを取りました。
LCを使った、L型マッチング回路で簡単に済ませています。
1)送信部
1) ジェネレ−タ−部からの信号(9MHz)と、VFOからの信号で、50MHzを得ています。
2)ミキサ−後は、ゲインを稼ぐのと、スプリアスを落とすために、2SK241のアンプを1段入れてあります。
正式なバンドパス・フィルタ−ではないのですが、その後に入っているLPFとで、スプリアスはかなり
落ちています。
3)ファイナルアンプ部は、2SC2851を使った、抵抗帰還形NFBアンプを使っています。
NFBアンプなので、安定した増幅が得られます。また、NFBがかかっているので、歪にも有効かと思います。
このアンプ部で、35mAほど流しています。出力は1:4のバイファイラ−巻きトランスを負荷にして、100mW程度の
出力を得ています。その後、5次のLPFを入れて、スプリアスを軽減しています。
この部分のトランスは、小型メガネコア−に、バイファイラ−巻きしたトランスや、FCZコイル(7MHz)などが使えます。
ただし、多少効率が変わるため、出力は変化します。
100mWでは、実用性に欠けますが、製作のしやすさを考えると、このパワ−は楽です。パワ−アップには、外付けの
リニアンプで対応します。
2)トランスバ−タ− 「Tran1130」 プリント基板 クリックすると拡大します。
SSBジェネレ−タ− 「Tran1130」 完成基板 クリックすると拡大します。
印刷用 モノクロ表示 部品配置図 ・・・ Click
基板設計は、「PCBE」で行っています。PCBEでの設計デ−タを、UPしますので、感光基板で基板が製作できる方は、
基板を製作してください。写真の基板は、メ−カ−製で、両面スル−ホ−ル基板を、使っています。そのため、基板上での
ジャンパ−線はありません。基板を自作した方は、部品面の配線を、ジャンパ−線で行ってください。
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最近は、中国の基板製造メ−カ−が、プリント基板の製造を受けてくれます。
下記に中国のメ−カ−の例を挙げておきます。
中国メ−カ−に発注するには、ガ−バデ−タが、必要です。PCBEソフトから、発注用ガ−バダ−タが、作れます。
支払いには、カ−ドまたは、PayPalなどが使えます。
中国の基板製造メ−カ−HP : SeeedStudio(https://www.fusionpcb.jp/fusion_pcb.html)
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3)トランスバ−タ− 「Tran1130」 製作デ−タのダウンロ−ド
製作に必要なデ−タ、調整用デ−タなどのダウンロ−ドができます。(pdfファイル)
(1)Tran1130 製作&調整 マニュアル ・・・ DownLoad
(2)Gen1130 回路図 ・・・ DownLoad
(3)Gen1130 プリント基板デ−タ(PCBE−Data)・・・DownLoad(zip)
(4)Gen1130 部品配置図 ・・・ DownLoad
(5)Gen1130 パ−ツリスト(総数) ・・・ DownLoad
(6)Gen1130 中国Seeed社、発注用ガ−バデ−タ ・・・DownLoad(zip)
(7)Gen1130 Gen1130完成写真 ・・・ DownLoad
4)トランスバ−タ−を他のバンドへ移植する場合
1)トランスバ−タ−「Tran1130」は、他のバンドへ移植することができます。
移植するに際しては、いくつかの注意点があります。下記に、移植の注意点を上げておきます。
他のバンドへ移植する方法と、注意点 ・・・ click
トランシ−バ−の送信/受信を切り替える際、電源を切り替える方法がよく使われています。
通常は、簡単にリレ−で処理している場合が多いです。しかし、リレ−などには、チャタリングと言う現象があり、
電源にノイズが載ります。そのノイズが、切り替え時のノイズとなる場合があります。(他にもノイズの原因はあります)
この切り替えユニットは、トランジスタ−スイッチを使い、高速/無音で電源を切り替えることができます。
電源電圧が、送信/受信で変わらず、12Vが出力されます。
送信/受信表示用、LED端子が付いています。
1)DC電源切り替えユニット 「DCC1130」 製作デ−タのダウンロ−ド
製作に必要なデ−タ、調整用デ−タなどのダウンロ−ドができます。(pdfファイル)
(1)DCC1130 製作&調整 マニュアル ・・・ DownLoad
(2)Gen1130 回路図 ・・・ DownLoad
(3)Gen1130 プリント基板デ−タ(PCBE−Data)・・・DownLoad(zip)
(4)Gen1130 部品配置図 ・・・ DownLoad
(5)Gen1130 パ−ツリスト(総数) ・・・ DownLoad
(6)Gen1130 中国Seeed社、発注用ガ−バデ−タ ・・・DownLoad(zip)
(7)Gen1130 Gen1130完成写真 ・・・DownLoad
VFO発振部に関して
今回は、トランスバ−タ−の製作に関する記事なので、VFO回路の説明は省力させていただきます。
CYTECのHPにも、いくつかのVFO回路が掲載されていますので、そちらを参考にしてください。
おまけ:ポップノイズキャンセル回路
自作のトランシ−バ−は、送受切り替え時、スピ−カ−から「ボッツ」と言うようなの言うノイズが、出たりします。
このノイズは、気になると気にかかります。そこで、スピ−カ−への配線を一時切り離してノイズの軽減を図る
回路を、紹介しておきます。切り替え時、時定数によりタイムラグを、持たせています。ノイズが気にならない
ようになるまで、で次TRのベ−スに入っている、コンデンサ−の値を調整してください。
ポップノイズキャンセル回路説明書 ・・・ DownLoad(pdf)
ご質問は、 cytec@cytec-kit.com まで。